札幌で7月10日~12日の3日間に開催された、日本周産期新生児医学会について、遅くなったがちょこっと書きます。
今回、在宅医療関連の話題などを中心に、セッションを回ってきた。
その中に、在宅医療への移行について、大阪のとある先生の発表があった。
この病院の取り組みとしてすばらしいと思ったのは、医療ケアへの依存が大きい児の場合、退院前に、病院側と在宅サポート側の関係者が子どもの自宅に集まってカンファレンスを行っていること。
実際の生活状況を見ながら話し合いができることで、在宅サポート側は具体的な心配や不安について病院側に質問することができるし、病院側は自宅での様子を見ることで、より在宅生活に密着した形になるような退院支援を行っていけるだろう。
成人のようにケアマネがおらず、病院医師がイニシアティブを取る機会が多い小児の在宅医療において、この方法はすばらしいと思う。
ただ、話題にはなかったが、問題点として挙げられるのは、病院が訪問に関わるコストを持ち出さなければいけないことだろうか。
「退院時共同指導」というコストは請求できるが、病院医師が自宅まで出向いていくのはボランティアになるので、このやり方が広まるためには何らかの算定ができることも今後必要かもしれないと思った。
また、やはり大阪では小児慢性特定疾患がないと訪問看護が受けられない(自己負担がかかる)ということについての悩みも聞かれた。
本当は導入したくても導入できないケースは多々あるとのこと。
ここはぜひ改善されなければ・・・。
この演題以外にも、様々な病院の取り組みについてお話があった。
いわゆる「長期入院児」の数は、2006年以降減少しているという結果も。
これは医療ケアを要する子どもが減っているという意味ではなく、以前より早期に退院させているということで、在宅指向が高まっているといういい面もあるとは思う。
ただ、こういう議論の結びの言葉はいつも、
「在宅側の受け入れが少ないことが課題である」
になってしまうのが・・・。
今の職場に来て強く思うようになったのだが、こういう話を病院の人間が集まるところだけでしていても、これからはあまり意味をなさないような気がする。
例えば去年の日本在宅医学会では小児の在宅医療についてセッションが持たれ、100人くらい入る会場に立ち見が出るくらい人が集まった。
また、私たちが2009年に大阪の訪問看護を対象に行ったアンケート(報告書は http://hirokinanjo.com/doc/report_01.pdf )でも、「小児は看たいがやり方が分からない」という回答は数多く見られた。
在宅サポート側にも小児への関与を考えてくださる機運はあるものの、病院で在宅移行を進めたいという側との交わりが少ないため、いつまでも「課題である」のままで進んでいかない。
自宅でカンファレンスを行うように、学会や研究会も、もっと病院の側が在宅側に入ってきて情報提供していかないと・・・と感じている。
・・・というようなことを、質問とともにコメントしてきました。
ほかにもいろいろありましたが、一番印象に残ったことをお送りしました。
ご意見、ご感想をいただければ幸いです。
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