昨日、関東で緊急事態宣言が発令され、大阪と周辺地域でも宣言の要請が検討されるとのニュースが流れています。

TVのコメンテーターの中には「欧米より格段に少ない感染者数なのになぜ崩壊するのか」といった論調の方もおられます。

この点については少し議論が複雑なので、また時間のある時に書かせていただこうと思いますが、Facebookをされている方は、私が今日シェアしている佐々木淳先生の投稿をお読みいただければ、その概要はご理解いただけるかと思います。

https://www.facebook.com/junsasakimd/posts/3721556577890186

さて、年が明けて、堺市の周辺でも新型コロナウイルスの影響がかなり大きくなってきています。

我々の診療の中で実感する変化としては、新型コロナウイルス感染症以外の理由で入院先を探すのが、これまでよりかなり困難になってきています。

特に難しいと感じるのが肺炎などの呼吸器系の問題での入院先の確保で、複雑な基礎疾患のある方ではさらに難しく、バックベッド的に頼っていた病院が受入困難となると、他院で受け入れてもらうこともそう簡単ではなく、困難を極めます。



いろんな考え方がありますが、普段であれば受けられたと思われる通常の医療が受けられなくなることを「医療崩壊」の定義とするならば、当地ではすでに部分的な医療崩壊の域に入っているという恐怖感が生じているこの頃です。

いろんな評論家の方が制度や対応の問題点を指摘されているものの、それらは根本的な医療制度の変革と国民の医療へのニーズの変容なしに変えられるものではなく、今は今ある制度と国民の医療ニーズをもとに、できることを考えていかねばなりません。



そこで、訪問診療先の皆様への、心からのお願いです。



1)禁煙を指導されている方は、確実に禁煙するようお願いします。

喫煙により、新型コロナウイルスに限らず、肺炎などによる呼吸器病変での入院リスクは格段に上がります。

しかし、そういった病気に対応いただく病院の呼吸器内科の先生方は、多くが新型コロナウイルスの対応に忙殺されており、入院での対応をいただくことが非常に困難になっています。

率直に言ってこの冬には、基礎疾患や病状によっては、入院先を見つけられない可能性は大いにあり得ます

我が身を守るために、ぜひ確実な禁煙を、可能な限り家族全員でお願いいたします。



2)高血圧、糖尿病などの持病で投薬されている方は、確実な内服をお願いします。



そして、新型コロナウイルス感染症の悪化リスク因子となる高血圧や糖尿病は、普段からのコントロールが極めて大切です。

ついつい薬を忘れてしまうという方もおられますが、感染した時の悪化リスクを低くするために、ぜひ確実に薬を内服するように、家族全員で確認をお願いいたします。



3)3密回避、手洗い・手指消毒、マスク着用など、基本的な感染対策をお願いします。



この1年間の経験から、新型コロナウイルスの感染リスクの高い場面はかなり明らかになってきました。

また、手洗いの徹底やマスクの着用により、感染リスクがかなり軽減されるということも分かってきています。

どんなお金をかけた対策よりも、ずっと言われ続けている基本的な感染予防対策の方が、新型コロナウイルス感染予防には重要です。

昨年の流行語大賞に選ばれた「3密」、すなわち、密閉、密集、密接した状況にはできるだけならないように、特に多人数での家族以外での外食、カラオケなどハイリスクな場面は、ご本人だけでなく家族で協力して可能な限り避けるようにしてください

また最近は、ちょっとした食事の場を共有する時などに、気が緩むことで感染が広がっているケースが多くなっているようです。

家族の方には勤務先での昼食や、休憩時間の間食などの際にも、大声で話したり狭い空間を長時間共有したりしないよう、注意をお願いします



もちろん、家庭の事情、職業上の都合などでこれらの対応が困難な方もおられると思います。

可能な範囲での最大限の対応でよいと思います。

当クリニックの職員も万全の体制でこれらに気をつけてまいりますので、どうか一緒に対策をお願いいたします。