感染症予防のために診察内容を変更しています。詳しくは、新型コロナウイルスなどの感染症対策についてをご確認ください。

よしなしごと

気管内吸引

成人の在宅患者さんに比べて、小児の在宅患者さんでは医療ケアのバラエティーが非常に多いのが特徴の一つだろう。
その理由のひとつに、在宅医療が必要となる原因の疾患や病状が多岐にわたるので、それをどうやってクリアするか、という方法論が幅広い、ということがあると思う。

ただ、今の職場に来て、
「これは『在宅向き』ではないよな・・・」
と思うようになった医療ケアもある。

あるいは、
「ここはもっと工夫しないと在宅ではつらいよな・・・」
と思うようなこともある。

このあたりについて、これから時々書いてみたいと思っている。

その初回に挙げるのは・・・。

「気管内吸引の回数」

気管切開をしている子どもでは、気管に溜まった痰を吸引してあげる必要がある。
吸引しないと痰は出せないままになり、ゴロゴロしたり、ひどいと気管がつまってしまったりする。
そうならないように、状態に応じて適宜吸引してあげないといけない。

この吸引、病院にいると看護師さんがシフトの勤務でやってくれるのであまり気にならないのだが、家に帰るとほとんどの場合お母さんがすることになる。
そして、
「吸引が必要な時」
というのは、
「呼吸が苦しくなりかけている時」
なわけで、それは突然やってくる。
他のケアは少しくらい時間がずれても大丈夫だけど、吸引はほったらかしに出来ないことが多くて、お母さんは神経をすり減らす。

この回数が多いと、お母さんは家事の一つすら出来ず、ずっと子どものそばを離れられない生活になってしまう。
また、夜の吸引回数が多いと、お母さんは毎日眠れない夜を過ごすことになる。

気管切開している子どもを退院させる時、とにかく気管内吸引の回数はできるだけ少なくなるように、工夫をしていただければと強く感じている。
(専門的な話題だが)単純気管切開の児には喉頭分離術の適応がないかどうか、唾液の多い児には抗アレルギー薬や抗コリン薬などはどうか、口腔内持続吸引器はどうか、また病態によっては人工呼吸器で圧をかけるのはどうか、などなどが選択肢に上がってくると思う。

前職場の部長の先生は、
「一晩に気管内吸引が3回以上必要な子は、家でみるには大変すぎる。
それ以下になるように工夫しなさい。」
とよく言われていた。
当時も吸引回数を減らすことには頭を悩ませていたが、家の様子を直接見るようになって、その重要性はとても強く感じている。

これを読んでくださった医療関係者の皆様、ぜひまわりの患者さんについて、吸引回数を減らす工夫ができないものかご検討をお願いいたしますm(_ _)m

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

かがやきクリニック ロゴ

クリニック概要

かがやきクリニック
院長:南條浩輝
所在地:〒590-0105
堺市南区竹城台4丁1-14
オフィス・キャロー101
TEL:072-320-8501
FAX:072-320-8504
(電話受付:平日9:30~17:00)

アクセスマップ