11月15日〜16日、福岡で行われた日本難病医療ネットワーク学会に参加してきました。

今回参加した理由は、サブタイトルが

「神経難病から全ての難病へ、そして小児から成人まで切れ目のない難病支援へ」

というもので、今、小児科では大きな話題となっている小児期から成人期へのトランジションが取り上げられていたからです。



15日、到着後すぐ、会長講演「難病支援を総合的に行う組織を目指して:福岡県での試み」と題した、九大神経内科吉良潤一教授のお話があり、現在の難病支援についての方向性を俯瞰的に勉強することができました。

平成27年に「難病法」が施行され、これからの難病支援の目指すものとして、

①早期診断できる医療体制

就学・就労ができる環境の整備

③遺伝子関連検査体制の整備とカウンセリングの充実

小児慢性特定疾病児童が成人後も切れ目なく医療を受けられる連携体制の充実

が揚げられているそうで、②と④ではまさにトランジションで問題となるところが明記されています。

福岡県では、九大病院の難病情報センター内に、重症神経難病ネットワーク事業・難病相談支援センター事業・小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の3事業を集約しており、各2名ずつ計6名の担当者が密接に連携をしながら事業に取り組まれているそうで、縦割りになりがちな支援体制に横向きに串を刺す先進的な取り組みだと感じました。



その後、教育講演1「神経難病の最強の呼吸ケア」と題した、国立精神・神経医療研究センター身体リハビリテーション科の寄本恵輔先生の講演を聴きました。

その中で、LIC TRAINER(https://www.ncnp.go.jp/press/release.html?no=122)の紹介がありました。

これまで、肺の容量を保つためのトレーニングとしては、マスクバッグを用いて補助的に肺に空気を送り込む方法がよく行われていて、当クリニックの訪問先でも実施している方が多くおられます。

この方法では、何度かに分けてバッグで空気を送り込む間、本人が息をこらえておく必要があり、息こらえができない方や、気管切開している方では実施できないという課題がありました。

LIC TRAINERは、そういった方でも同様のトレーニングを行えるようにバッグに着けるデバイスとして開発されたそうで、逆流を防止する弁があるため、自力で息こらえをしなくても、弁がその役割を果たしてくれるというものです。

これは、神経難病の方だけにとどまらず、成人領域でも小児科領域でも多くの可能性を感じます。

まだ、どのような圧をどれくらいの時間かけるのが効果的か、などの実際的なところについては不確定な部分も多いそうで、今後の情報にも注目したいと思いました。



そして、夕方には、今回の最大の目的であった、シンポジウム「移行期医療と小児から成人まで切れ目のない難病支援」に参加しました。

こちらの報告は、次回まとめさせていただきます。