おそくなりましたが、先月参加した日本小児科学会で興味深かったことを書いてみます。

<代表的な経腸栄養剤にはカルニチンがほとんど入っていない>

これは複数の演題で話題に上っていました。
処方される経腸栄養剤だけに頼っていると、カルニチン不足に陥ることが考えられるのですが、カルニチンは普通の血液検査では測れないので、気付くのが難しいのです。
カルニチン不足の症状は、倦怠感、筋肉痛、低血糖、脂肪肝、ひどければ心機能低下などがいわれていますが、これらも重症の子どもたちからはなかなか読み取りにくいかもしれません。
ただ、カルニチンは動物性のものに含まれていますので、牛乳やミルクを足すだけでもだいぶ違ってきます。
一番多いのはヒツジ肉だそうで、牛肉や豚肉にも多く含まれるので、家で焼き肉とかハンバーグを作ったら、その肉汁を少し混ぜると香りも楽しめていいのかも・・・なんて思ったりしました(^_^;)


<栄養剤だけでは低ナトリウムに注意が必要>

ある先生がコメントで、
「ツインラインにはほとんど塩が含まれていないから、ずっとこればっかり使ってると低ナトリウムになる」
と言われていました。
ちょっと気になっていたので、うちの診療所にいる管理栄養士に頼み、主立った経腸栄養剤について食塩相当として調べてもらいました。
すると・・・

ツインライン:約 0.71 g/400ml
ラコール:約 0.75 g/400ml
エンシュア:約 0.54g/250ml


ということは、子どもの場合、まあ多く使っても1200mlくらいまででしょうから、どれでも1日2グラム強ということになりますね。
メタボの成人の塩分摂取制限が6g/日ですから、1200mlでもそれの1/3にしかならないということです。

エレンタールP・エレンタールについても、

エレンタールP:約 0.36g/40g(1袋)
エレンタール:約 0.66g/80g(1袋)


です。

こりゃ低ナトリウムになってもおかしくないですね。。。



今回の学会ではカルニチンと塩分について、盲点だったと反省しました。
今までも、ヨードが不足しやすいとか、食物繊維がほとんどないので補った方が便性がよくなるとか、微量元素不足に注意が必要、などという話もありました。
いずれにしても、経腸栄養剤には頼りすぎず、お腹が許すのであればいろいろなものを入れてあげるのがよいのでしょうね。
お腹の問題で経腸栄養剤に頼らざるを得ない子の場合は、こういった経腸栄養剤の特徴をよく知った上でフォローアップしないといけないんだな、と思いました。