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在宅医療

「生きることを支えていくための子どものエンド・オブ・ライフケア」

久しぶりのブログ更新です。

先週末は土日ともに、オンラインでのシンポジウムに出席させてもらいました。

27日は、日本小児血液・がん学会「生きることを支えていくためのエンド・オブ・ライフケア」というシンポジウムでした。
(学会会員の皆様は、オンデマンドで配信があるようですので、よろしければご視聴くださいm(_ _)m)

在宅医療と病院との間で連携を行い、可能な限り自宅で過ごすことができたお子さんのケースを紹介しつつ、普段感じている小児と成人の在宅緩和ケアの似ているところと違いについて、お話しさせていただきました。

緩和ケアに限らず、小児在宅医療全般に言えることなのですが、成人領域の在宅医から見ても、小児科の開業医から見ても「取っつきにくいな」とハードルを感じられることが多いのはなぜなのか・・。

私はこう考えています。

この表のように、どちら側から見てもメリットと弱点がある、すき間のような仕事なのが難しさの理由の一定を占めていると思うのです。

そして、見ていただけると分かるとおり、在宅医のメリットは小児科医の弱点、逆に在宅医の弱点は小児科医が関わるメリットと言えるような、クロスオーバーしているようなところがあります。
また、主に成人の方を対象としている訪問看護ステーションでは左側、主に小児を対象としている訪問看護ステーションは右側に近いメリットと弱点を持っていることもあります。

こういった慣れ不慣れの問題によって、病院の小児科の先生やスタッフの方が在宅側スタッフと関わる際に、配慮していただきたいところが異なることは、病診連携の難しさに繋がっていると思うのです。

では、どうやってこの弱点を補っていくか・・。

これはもう、対話を重ねることしかないと考えています。

退院前カンファレンスはもちろん、何か困ったことがあれば気軽に相談しあえる関係を構築して、ちょっとしたことでも電話やメール、SNSなどで連絡を取り合うことができれば、みんなができることを少しずつやって、できないことはできる人が補うようなチームができるのではないでしょうか。

 

さて、今回のシンポジウムの総合討論の際に取り上げていただくことができなかったご質問に、以下のようなものがありました。

成人在宅医が小児がん患者さんのエンドオブライフケアに対応できるように、成人に対応したホスピスでも小児がん患者さんのエンドオブライフケアに対応可能になる可能性はあると思います。
自宅に近い成人のホスピスでの小児がん患者さんのエンドオブライフケアについてご意見を伺いたいです。
(趣旨を要約しています)

このご質問は、個人的に少し「ハッ」としましたので、久しぶりのブログを書くきっかけになりました。
そういう選択肢を、私はこれまで考えたことがありませんでしたので・・。

このご質問への考えをまとめていたのですが、現時点で自分の知る限りにおいては、成人のホスピスで小児のエンドオブライフケアを行ってもらうことには、在宅医療以上のハードルが存在するような気がします。

理由を以下に並べますと・・。

1)子どもと家族にとって、小児科病棟とホスピスはどちらも「病院」であり、成人向きに造られたホスピス病棟で、これまで関わりがなかった医療職にお世話になる形で入院することについて、分かりやすいメリットが見いだしにくい。(在宅医療でも新たな医療職が関わりますが、「自宅に帰る」という明確なメリットがあります)

2)成人のホスピスのある病院に小児科があるとは限らないので、ホスピスのスタッフの不得意分野を誰が補うのかシステムの構築が必要。(逆に言えば、総合病院で小児科のある病院の緩和ケア病棟であれば、小児科医や看護師などのスタッフとコラボできる可能性はあるのかも知れないです)

3)少人数で、自宅で関わる在宅医療と違い、ホスピス全体のスタッフの教育や意識改革ホスピスの環境整備などが大規模になる。(病院単位で「やろう!」という大きなムーブメントが必要かなと・・)

あたりがパッと思い浮かびます。

もちろん、実際に小児のホスピスに近い形のシステムや病床を持っている病院もありますし、こういったハードルを取り除いて実現させることは不可能ということはないでしょう。むしろ、選択肢としてある方が良いと思います。

ただ、そのためには、成人のホスピスのスタッフに向けて、小児科の先生やスタッフの側から相当なバックアップ体制が必要でしょう。

本気でこの選択肢を創っていくのであれば、まずはがんの子どもに関わる小児科の先生がいる病院の緩和ケア病棟で実現していくことが第一歩目で、それがうまくいけば、どうやって地域のホスピスに広げる手段があるのか、という順序での検討が必要ではないか・・と考えます。

 

ちなみに、28日に出席したのは日本プライマリ・ケア連合学会近畿地方会の移行期医療のシンポジウムでした。

エンドオブライフケアに限らず、小児科から成人領域の科への移行については、可能な限り本人と家族にとってデメリットがない形(もっと言えばメリットがデメリットを上回る形)で進められるべきと私は考えています。

そのためには、家庭医・総合医としてトレーニングを積まれた医師の果たす役割は大きいと感じます。

病院の先生、地域の先生、その他の医療・福祉・保育・教育・行政などの多くの職種の方々と、このような「すき間」がなるべく埋められるように、私の合い言葉「ちょっとだけがんばればできる小児在宅医療」に関わってくださる方が増えることを願っています。

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