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よしなしごと

「日本小児科学会倫理委員会公開フォーラム」に参加して その2

まず、
重篤な疾患をもつ子どもの医療をめぐる話し合いのガイドライン(案)2011.1.19
をアップしましたので、お読みいただければと思います。
そして、ここにはフォーラムに参加して感じたことを書かせていただくので、フォーラム内容については、2/26のブログをご覧くださいm(_ _)m

1.他学会との兼ね合いは??

このガイドラインを用いるのは、おそらく小児科医だけではなくなるはずである。
例えば救急の専門医、腫瘍内科や小児外科、または緩和医療の専門医なども対象となる小児を診療しているはずである。
このガイドラインは、そういった他の分野の先生方から見たときにどのように映るのか、意見を聞きたいところである。
そのためにも、パブリックコメントはぜひ学会会員以外にも門戸を開いて欲しいし、むしろ積極的に他の分野の先生方にコメントを依頼するくらいのことをした方がよいのではないかと思う。

2.小児緩和医療の普及の必要性

このガイドラインには、意志決定過程に振り返りが必要な各項目について、チェックシートが付いている。
この中に、例えば
「子どもの苦痛は適切に除かれているか」
などという文言が入れられないだろうか。
成人に比べ、小児の緩和医療ははるかに遅れている。そういう私も、新生児科医として勤務した8年間で赤ちゃんの痛みを最小限にしようという意識を持ったのは、申し訳ないことに最後の2年間くらいであった。
治療の差し控えや中止が「子どもの最善の利益」として選択される可能性を考えるのであれば、最低限その選択はこどもにとって「苦痛がない(もしくは少ない)」というのが前提になるだろう。
どのような形がガイドラインとして適切なのか分からないが、ぜひ緩和医療の視点をおろそかにしないような文言を盛り込んで、今後の小児科医療への啓発につなげてもらいたいと思う。

3.医療チームの足下を見つめ直す内容を増やせないか?

今回のガイドラインには、話し合いについてのチェックシートが付いている。
この内容について、もう少し練ることができないかなという思いがある。
例えば、15ページにある
「父母の意向を子どもの最善の利益として了解・共有できるかのチェックリスト」
であるが、これは逆に、
「医療者の意向が子どもの最善の利益として了解・共有できるかのチェックリスト」
を保護者に付けてもらわないと、話し合いのガイドラインと言うには一方的に感じないだろうか。
また、12ページの
「父母が正しく説明を理解できたかのチェックリスト」
もあるのであれば、逆に
「医療者が父母の思いを正しく理解できたかのチェックリスト」
もあれば、という気がする。
しかしこの点については、下の4.に書いたような思いもある。

4.そもそもお互いがお互いを真に「理解」できるのか??

私は先週、ある診療所に研修に行かせてもらったのだが、その診療所の院長先生は「支援」とは何か、1日を通じて私にお話ししてくださった。
その中でとても納得したお話があった。それは、
「人は、真の意味で他人を理解することはできない。
しかし、他人に自分のことを理解者だと感じてもらうことはできるかもしれない。」
という内容であった。
このチェックリストは、医療者目線で安全を確保しようという意識が強いのか、父母側からすれば自分が試験をされているように感じる評価項目がとても多い気がする。
このリストを突きつけられて、父母は、チェックリストを付けている医療者を
「自分の理解者」
と感じてもらえるだろうか・・・。
医療者と父母があくまで対等に悩み、結論を導き出すのが大切だというのが、フォーラムでのお話だったのではないかと思う。そのためにも、対等の立場でチェックできるようなツールであれば・・・と思う。

偉そうなことを書かせてもらった以上、パブリックコメントもしくはその他の方法で、感じたことには具体策を考えて、意見を述べさせていただこうと考えている。

なお、
ブログ・がんばれ!!小さき生命(いのち)たちよ
にも多くの意見が寄せられている。こちらもぜひお読みくださいm(_ _)m

最後に、このような難しい問題に正面から取り組んでこられたワーキンググループのメンバーの皆様に、心から感謝いたします。

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