近年、堺市周辺の自治体では、医療的ケア児などの小児に対しても、状態や家庭状況などによっては家事援助のヘルパーを認めるところがでてきました。
私が開業した当初はどの自治体でも、小児に対して認められるのは身体介護だけというのが当たり前でした。
その理由としては、
「子どもはもともと家事をしない。障害福祉サービスが本人への支援を前提としている以上、家事をするのはあくまで親(多くは母親)なので、対象にはならない。」
と言われてきたのです。
でも、在宅で行われる医療の高度化が進む現在、母親が医療的ケアの対応に時間に追われ、十分に家事をできない家庭(あるいはその両方を行って母親がヘロヘロになっている家庭・・)はとても多いのを、訪問診療では目の当たりにします。
それに加えて、小児に対応できる居宅介護事業所が十分ではなく、身体介護のヘルパーを利用したくてもみつからないという実情もあります。
開業からの7年間だけを見ても、子どもと家庭を取り巻く環境は大きく変化しています。
共働き家庭が全子育て世帯の7割を超え、ひとり親世帯の割合も増えていること、また晩産化で祖父母が高齢で頼れない家庭が増えている(むしろ祖父母の介護の必要すらある家庭も多い)現在においては、「自宅に主婦がいる」ことを前提としているこれまでの支援制度では不十分であると感じます。
本当は、小児に対応できるヘルパー事業所が増えて、身体介護も十分に受けられるようになることも理想だと思います。
しかし、それが難しい現状でも、家事援助であればまだ比較的事業所を見つけやすく、利用できるという地域もあるようです。
ならば次善の策として、せめて家事の負担だけでも母親から軽減できるようにすることを、もっと積極的に考えてもらいたいものです。
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