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よしなしごと

「医療崩壊」を勘違いしてませんか?

私は感染症の専門家ではないので、新型コロナウイルスについては自分が信頼する専門家の意見を踏まえて行動しています。

そんな中で、一つだけ自分の経験から、一般の方が思い違いしているなと感じるのは、医療崩壊の理解のされ方についてです。

10年以上前、妊婦たらい回しという言葉がありました(大嫌いな言葉ですが)。

この時、重症の赤ちゃんを診療する新生児集中治療室(NICU)が慢性的に満床になり、生まれる赤ちゃんに何かあった時に対応できないため、産科が妊婦を受け入れられない事態が生じていたのです。

 

妊婦たらい回しのポイントは、満床はNICUなのに、新生児科や小児科ではなく、産科の受け入れが不能になったという事実です。

集中治療が手一杯になると、何かあった時の担保体制が崩れ、他科も含めて一般の診療で起こるリスクを医療機関が引き受けられなくなるのです。

 
今、新型コロナウイルスで心配される医療崩壊とは、このドミノ倒しなんですよ。
 
ICUが過労状態になると他の診療への影響が大きくなる。ましてコロナ対応では、通常の集中治療の数倍の労力(ヒト、モノ、時間すべて)がかかるので、1人受け入れると他の患者数人を受け入れられなくなるそうです。
 
振り返れば、妊婦たらい回しは一種の医療崩壊でした。
 
今回のコロナの影響で例を言えば、要手術の骨折で救急車を呼んだのに、車内で搬送先が長時間見つからず、結果「命に関わらないから」と搬送を諦められて自宅待機させられる、なんてことが起こり得ます。
 
さらに、そんな対応に救急車が長時間拘束され、次の救急依頼を受けられない、といったドミノ倒しが起こり出します。
 
だから、新型コロナウイルス重症者用のベッドがあと何床あるからOK、という単純な話ではないんです。
 
脳出血や肺炎などが増える冬、他の診療が崩壊する前に何とかせないかんのです。医療崩壊は、妊婦たらい回しの時のように、気づかれにくいころから始まるのでは、気づいた時にはエラいことになっているのでは・・と危惧します。
 

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