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よしなしごと

墨東病院の事件のお父さんに敬服

まず何よりも、この患者さんのご冥福を心からお祈りいたします。

最近の医療関連のニュースについては言いたいことが山ほどあるが、今回はホッとした。
墨東病院で亡くなった方の旦那さんの記者会見内容だが、つらい中これだけしっかりと思いを発信してくださることにまず敬服した。
そして、最近の偏向したマスコミの論調に流されず、本質的なところを突いているということにもあわせて敬服した。

「誰も責めるつもりはない」
「最初断った当直医には傷ついて辞めたりしないでもらいたい」
「墨東病院の医師も看護師も本当に良くしてくれた。彼らが傷つかないようにしてほしい」
「具体的な目標を持って改善に向かってほしい。何かが変われば『これを変えたのはおまえのお母さんだよ』と子どもに言ってあげたい」

ショックな出来事の直後に記者会見で発言するというストレスは、いったいどれほどだっただろうと思う。
そして、キチンとしたメッセージがこもっていると思う。

医者個人を責めてもしょうがない。制度からちゃんとしろ。
その具体的な道を示せ。

このお父さんの意図に沿えるか分からないが、自分の思いを書かせてもらう。

相変わらずこの事件を受けて、新聞各社の論調はかわらない。
「たらい回し」「受け入れ拒否」という表現を未だに使い、いかにも「病院が余裕があるのに断った」という印象を読者に植え付ける。
正しい状況を国民に伝えるためには、現状を把握して、「受け入れ不能」あるいは「受け入れ困難」と表現してもらいたい。

そんな中、病院や医師単独の問題でなく制度からちゃんとしろと、遺族の方が毅然として訴えたという今回の記者会見に、効果を期待したい。
今までみたいに「医者vs患者」的構図のあおりを続けるのではなく、もういい加減、日本が今まで取ってきた医療費削減政策は間違っているということを、国もマスコミも認めるべきだろう。

これまで病院や医師は、言わばユースホステルの値段で高級ホテルの仕事を強要されてきた。
いつしか患者側もそれが当たり前と勘違いし、病院で無理難題をおしつける人も増え、病院が病院の業務に集中できないという悪循環を生んできた。
病院や医師は、それでも「助けなければ」という使命感でこなしてきたが、どうにもならない事態に陥ってしまった。

医療の量・質とも需要が高まったのに、かける金だけが減っていくという矛盾。

これ以上の話でも以下の話でもない。

医学部定員増、医師の配置の見直し、臨床研修義務を2年から1年に短縮・・・
すべて対症療法で、根本は何も解決しないのではないか。

別のニュースで、日本の国立病院機構の半数以上が赤字であるというのがあった。
そりゃ当然でしょう。
だいたい、国立、公立病院の使命というのはもともと、採算がとれようととれなかろうと、その地域の住民の健康を守ることのはずではなかったのだろうか。
利益追求する私立病院だけではカバーできない部分をこういった病院がカバーしてきたのに、独立採算制にされると、とたんに不採算部門の撤退、病院の閉鎖という事態に陥る。
合理化を極めても、どうやってもこれ以上切り詰められないというラインがある。
患者さんを守ることより、病院が経営的に立ちゆくかどうかが価値判断の基準になってしまった、その惨憺たる合理化の結果でも半数以上が赤字。
これが適正な医療費の配分か??

今回の墨東病院も都立病院。
都と国で責任のなすり付けをするんじゃなくて、こういう立場の病院ですら現状はひどいのだということをふまえて、必要なところに必要な金を配分する必要があるのでは。

本質を見据えた議論を、現場を知る人に勧めていってもらいたいと思うのだが・・・。

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