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よしなしごと

旅日記・日本小児血液がん学会

かなり時間がたってしまいましたが、11月29日・30日の両日、岡山で開催されていた「日本小児血液・がん学会」に参加してきました。
私自身、もともとは新生児科出身で、小児の血液疾患やがんは専門ではありませんので、この学会の会員にはなっていません。
今回は、この学会の「多職種医療者合同シンポジウム」のシンポジストとして呼んでいただけたので、土日を利用してできるだけ参加してきました。

私の発表させていただいたシンポジウムは、根治的治療が奏効しなくなった白血病のお子さんがテーマで、私は往診医として関わらせていただきました。
疾患、治療などについて専門科の先生からわかりやすい解説があり、また病院の主治医・指導医の先生や病棟の看護師さんから治療の様子のお話がありました。
その中で私のお話ししたことは、病院から自宅に帰り、家族とともに過ごした10日間あまりの在宅での様子、そして在宅での看取りについてでした。

思い出すと、退院してからの自宅での生活では、入れ替わり立ち替わりで友達が来ていました。
好きなところに行って、好きなものを食べて・・。これこそ、自宅で過ごすことの意味だなと思うことがたくさんありました。
今回はお母さんのご協力で、在宅での生活の様子のわかる写真をいただき、それも発表スライドに使わせていただきました。

子どもを自宅で看取るというのは、現状ではまだハードルの高いことかも知れません。
当クリニックでは緩和医療にも力を入れていて、開業以来これまでに30人あまりの方を在宅で看取らせていただきましたが、そのうち子どもはこのお子さんのほかにもう1人だけです。
しかし、2人とも、家族や友達、親戚の方などに囲まれて、穏やかに最期の時間を過ごすことができていたように感じました。

今回の発表で言いたかったことはただ一つ、
「限られた時間の過ごし方の一つとして、子どもにも在宅医療という選択肢がある」
ということを、広く知ってもらいたかったのです。
まだ担い手が少なく、病院と在宅側とでどんな連携を行う必要があるのかなど、課題はたくさんありますが、工夫次第でクリアできることもあります。

それに、今回の学会に参加してうれしかったのは、一般演題でも在宅医療に関する演題が複数発表されていて、成人領域の在宅医の先生に在宅での看取りをしてもらった例も示されていたことです。
こういった専門的な学会においても、子どもが限られた時間を自宅で過ごすということが一つのテーマとして取り上げられ、多くの方が関心を寄せているのを知ることができたのは、私にとって大きな収穫でした。

今後の課題としては、訪問看護ステーションや在宅医など、成人領域を主なフィールドとして活動している在宅医療の担い手の方と、小児がんの専門の方との間で、地域ごとにざっくばらんに話ができるレベルでのつながりができていくことではないかと感じます。これは、NICUなどの先生と在宅医療の担い手が、医療依存度の高い子どもの在宅医療を進める上での課題と同じですが、専門的な学会や病院の先生が集まる場などに在宅医療の担い手が行くだけでなく、在宅医療の担い手が集まる場にも病院の先生に来ていただいて、一緒に地域ごとの課題を考えていくことができれば・・と感じます。

最後になりましたが、この発表に協力してくれたKくんとご両親に、この場を借りてお礼申し上げます。

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