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ちょっとだけがんばればできる在宅医療ラジオ 第13回「スキンケア」

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【開催レポート】ちょっとだけがんばればできる在宅医療ラジオ 第13回 在宅でのスキンケア

在宅医療では何をおいても「スキンケア」と言って過言ではありません!
第13回ではその中でも特に、乾燥肌、皮膚の蒸れ、そして褥瘡の3つのポイントについて、在宅医の南條浩輝と、頸髄損傷の当事者である直野隆一郎氏の2人で深掘り!
日常生活での具体的な工夫や実体験から、支援者と患者が共に取り組むことができる在宅ならではのリアルをお届けします。
 

1. 乾燥肌のメカニズムと対応

乾燥肌は在宅医療の現場、特に高齢者の患者さんの痒みの原因として、最も多い原因の一つです。
加齢に伴い皮脂の分泌が低下し、角質の潤いを保つ角質細胞間脂質や天然保湿因子が減少することで、皮膚のバリア機能が損なわれます。
特に冬場は空気が乾燥しやすく、そこにさらにエアコンが追い打ちをかける形になりますので、とにかく環境の加湿と皮膚の保湿を同時に考えないといけないんですね。
保湿剤としては、ヘパリン類似物質(ヒルドイドなど)やワセリンが主に使用されると思います。ヘパリン類似物質は皮膚に潤いを与える成分を含んでいますが、ワセリンは皮膚の表面を膜で覆って保護する役割を担いますので、南條は目的によって使い分けています。
また、市販のものを含めて尿素配合の塗布薬も一般的ですが、尿素には皮膚への刺激性があるようで、肌質などの個人差によってピリピリとした痛みを感じると言われることがあり、南條は第一選択ではあまり使わないようにしています。
また、体を洗う際のナイロンタオルによる過度な摩擦や、衣類のタグ、化学繊維による刺激など、あるいは喫煙も乾燥肌を悪化させることがありますので、生活習慣をチェックすることは大切です。
南條自身も乾燥肌体質であり、仕事柄、手洗いや手指消毒が肌への大きな負担になっていることを実感しますが、これはどうしようもなかったりして、悩ましいですね・・。

2. 乾燥肌に対する日常生活の工夫

脊髄損傷の当事者である直野氏は、乾燥肌がで落屑が生じやすいのすが、それを手で払ったりしてキレイにすることができないというのが悩みのタネ・・。
加えて、指先を自由に動かすことが難しいので、ちょっと掻くこともできないし、逆に無意識のうちに爪で肌を傷つけてしまうこともあるし・・なかなか悩ましいので、常に爪を短く切るようにしているんだそうです。特に夜間は眠っている間に無意識に掻きむしってしまうことが多いので、私たちにとっても爪の手入れは大切ですね。
また、直野氏は先述のような肌への刺激に弱いため、肌に直接触れる衣類はすべて綿100%のものを選び、肌着のタグなどはすぐに切り取ってしまうようにしています。
ケアの面では、冬場は寒さから入浴や清拭の回数が減りがちになりますが、それが結果として乾燥を助長してしまい、痒みにつながっていく・・という悪循環もよくありますね。ケアを受ける側としては、寒い日は手早くすませてほしいという思いはあると思いますが、清潔ケアの回数を維持して,その際に保湿を丁寧に行うことが、結果的に痒みによるストレスを減らしますので、このあたりは患者さんと一緒に理解を深めていく必要があると思います。

3. 皮膚の蒸れと白癬

蒸れは、液体として流れ出る汗だけでなく、皮膚から蒸発している「不感蒸泄」と言われる水分や、排泄物がオムツや下着にこもってしまう状態などでも起こります。
特に直野氏のような麻痺がある方や、自分で体位を変えられない患者さんの場合、皮膚が密着する部位に湿気がこもり、白癬(水虫)や皮膚のふやけを招きやすいんですよね。
特に注意をする場所は、足の趾の間、陰部や殿部、関節の曲がる内側になるところ、そして女性では乳房の下などです。(直野氏は男性ですが体系が太めで、男性であっても腹部のたるみや乳房の下に蒸れが生じやすく、そこから湿疹ができるというリアルな悩みがのお話も・・)
蒸れ対策はとにかく「よく洗い、よく乾かす」という極めてシンプルなものですが、これを在宅でずっと継続するのは結構難しいものだったりもします。
直野氏が実践している具体的な工夫は、指の間の湿気を吸い取るための五本指ソックスや、腹部の皮膚の重なりを防ぐためにあえてワンサイズ小さめの下着ピチピチの状態で着用するなどして、布を皮膚の間に噛ませることだそうです。これにより、皮膚どうしが直接触れ合うのを防ぎ、汗を素早く吸収させることができるんですね。
また、夏場は短パンを着用し、冬場であっても空気の通りが良い綿100%のジーンズを選ぶなど、常に下半身の通気性を意識した衣類選びをしています。

そして、蒸れの結果でできてしまう白癬は、在宅医療で南條が関わる時点ではすでに重症化しているケースも少なくありません。
白癬治療において重要なのは、やはり通気性の確保と、症状が改善したように見えても自己判断で薬を止めず、指示通りに塗り続けることです。皮膚の奥に潜んでいる真菌を完全に根絶するためには根気が必要で、これは患者本人だけでなく、薬を塗布する介護者や看護師の理解が不可欠ですね。
特に角質が厚くなったタイプの皮膚白癬や爪白癬は治療が長期化し、内服薬の併用を行うこともありますが、高齢者の場合は肝機能への影響などから慎重な判断が求められます。
薬剤師など支援者の皆さんは、塗布薬の減り具合をチェックすることで、適切に使用されているか、あるいは塗りすぎていないかを把握することができると思いますので、そういう視点も大切ですね。
また、訪問看護師やヘルパーが入浴介助の際などに全身を観察することは、皮膚疾患の早期発見につながりますので、裸になるタイミングではぜひチェックをしてもらいたいんです。
ただし、肌を見せることは患者さんにとってプライバシーに関わるデリケートな問題でもあるので、しっかりコミュニケーションを取ることが大切です。

4. 「圧迫」はもちろん「ずれ」にも注意を!

褥瘡は、長時間同じ姿勢でいることによる「圧迫」が原因というのは、広く知られていると思います。
しかし、それと同じくらい、皮膚に斜めの力が加わることによる「ずれ」が危険であることは、あまり知られていないかもしれません。
直野氏は、かつてリハビリ病院で「米粒ひとつでも、その上に15分座っていれば褥瘡ができる」と教わったほど、褥瘡に対して強い警戒心を持っています。
車椅子での外出時には、常に身体をずらすことを意識して、こまめに座面からお尻を浮かせるなどして一点に圧がかかり続けようにしています。
また、ベッドを45度程度にギャッジアップする姿勢は楽チンなのですが、身体が足元の方へ滑り落ちるような力を生み、これがお尻の周囲の皮膚のずれを発生させ、褥瘡リスクを爆上げしてしまうことを、皆さんにはぜひ知っておいてもらいたいですね。
皮膚に対するアプローチと同時に、栄養状態の管理も不可欠で、特にアルブミン値が低いと創傷治癒にはとても時間がかかります。蛋白質をしっかりと摂取し、必要に応じて栄養剤を処方したり、微量元素やビタミンを補う栄養補助食品を活用することも検討します。

5. 多職種で取り組む「観察」とコミュニケーション

在宅でのスキンケアは、医師や看護師だけでなく、ケアに関わるすべての職種がしっかり観察することが大切です。
気づいた人が情報を発信し、共有することができれば、みんなで意識を統一した褥瘡予防策がとれますので、こういうやりとりがスムーズにできるチームはとても良いなと思います。
独居の高齢者など、セルフケアのモチベーション維持が難しいケースもありますが、その方の趣味や楽しみをもとに、例えば「美味しいお酒を飲むためにリハビリを」などの目標を持って、ベッド上に寝っぱなしにならないような意欲を引き出すことも考えてみたりします。

6. まとめ:在宅医療における皮膚管理の要諦

今回の「スキンケア」特集を通じて、在宅医療における皮膚トラブルがいかに生活の質に直結しているかを改めて痛感しました。
乾燥肌対策の保湿、蒸れを防ぐ通気性の確保、そして褥瘡を予防するための除圧と栄養管理・・、これらはいずれも「ちょっとした心がけ」の積み重ねです。
在宅医療に関わる皆さんが、今回共有した視点を明日からの現場で少しでも活かしていただければ幸いです。

ちょっとだけがんばればできる在宅医療ラジオについて

「ちょっとだけがんばればできる在宅医療ラジオ」は、かがやきクリニック院長の南條浩輝と、頚髄損傷患者の直野隆一郎氏が、他では語れない在宅医療のディープなリアルを、お互いの立場から深く掘り下げていこうという、インターネットラジオ番組です。
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