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ちょっとだけがんばればできる在宅医療ラジオ

ちょっとだけがんばればできる在宅医療ラジオ 第6回「体温」

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【開催レポート】ちょっとだけがんばればできる在宅医療ラジオ 第6回 体温調節のリアルと工夫

今回は、バイタルサインの基礎中の基礎「体温」をテーマに深掘り!
恒温動物としてのヒトの仕組みを南條から説明し、体温調節が困難な直野氏が直面するリアルな課題と解決策を提案。特に、夏冬の便利グッズ活用術や、日常生活に伴う体温変化への対策など、「ほほー・・」というお話が盛りだくさんです。
 
ちょっとだけがんばればできる在宅医療ラジオ第6回体温

1. ヒトが体温を一定に保つ仕組みと進化の代償

ヒトを含む恒温動物は、外気温の変化に関わらず活動し続けられる身体を得るために、体温を一定に保てるような進化を遂げました。このおかげで変温動物のように冬眠することなく一年中活動できますが、一方で膨大なエネルギーを消費するという燃費の悪さが問題です。
体温を維持するためには、摂取したエネルギーで常に発熱し続ける必要があり、その微調整を自律神経が担っています。特に、極端な暑さや寒さに対する体温の大きな変動にはダイナミックな調節が必要で、寒い時には震えることで熱を産生し、暑い時にはたくさん汗をかいて気化熱で体温を下げるということを、自然にやっているんですよね。

2. 体温調節が困難な方々の身体的特徴

しかし、在宅医療の現場では、加齢や疾患によってこの体温調節機能が十分に働かない方が多くおられます。
高齢者では、筋肉量が少ないため熱を産生しにくく低体温になりやすい一方で、暑さに対する感覚が鈍くなり熱中症リスクが高く、暑さにも寒さにも弱くなってしまいます。
また、乳幼児も体温調節機能が未熟な上に、体重あたりの体表面積が広いので、熱が保ちにくく低体温になりやすいことに注意を要します。
直野氏のような脊髄損傷の方では自律神経の制御がうまくいかないことが多く、暑くても汗をかけずに体温が上昇してしまい、ピヨッてしまいがち・・。なので以下のような工夫が必要になるんです。

3. 「人工的な汗」の必要性と細やかな工夫

汗をかけない方の夏場の高体温対策とは、いかに人工的に気化熱を発生させるか、これに尽きると言ってもいいくらいです。
直野氏は、霧吹きで肌を濡らした後に扇風機の風を当てることで、人工的な汗の役割をさせているんですよね。そしてこの時、ハッカ油を数滴混ぜることで、実際の冷却だけでなく「スーッとする」心理的な効果も。
その反面、下半身が冷えやすい直野さんは、特に腹部の冷えすぎを防ぐために背の高い扇風機で顔周辺を狙ったり、食事による体温上昇を卓上扇風機で抑えたりと、細かくアイテムを使い分けているんだそうです。
寝ている間の熱のこもりには、通気性を確保する「SOYO」などのマットも有効で、使用している方が多いのですが、硬さによる褥瘡リスクには注意が必要です。

4. 低温熱傷を防ぎながら身体を温める知恵

脊髄損傷の直野氏には体幹から下の感覚がほとんどありません。なので、冬場の対策で最も注意すべきは、感覚障害がある部位の熱傷なんですね。
直野氏は電子レンジで温めるタイプの湯たんぽを、直接肌に触れさせずに、「布団の中の空間を温める」意識で活用しています。
また、足元の冷えには、セラミックヒーターのように温風を送るタイプを選び、車椅子の金属パーツが熱を持ちすぎて接触部位が熱傷にならないよう配慮しています。
それから、首元には汗をかいてもいいように吸水性の高い綿100パーセントのタオルマフラーを選んだり、レッグウォーマーなどの着脱が簡単なものを選ぶなど、取り替えが自分でできないことを前提に、少しでも快適に過ごせるような身につけるものを選択しているんだそうです。

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5. 日常生活のルーチンと体温変化

体温は1日の中で一定ではなく、食事や排便、入浴などの生活動作によって大きく変動します。
直野氏は、朝の起床時に筋肉を動かす体操を行うことで、寝起きに下がった体温を意図的に上げるというルーチンを持っているそうです。
そして、排便後や入浴後には身体から熱が奪われます。冬場にはあらかじめ部屋の温度を高く設定したり、入浴直後からバスタオルでくるまって保温してもらったりする対策が有効ですね。
夏場の外出時には、しっかり水分補給をして脱水に注意しつつ、日陰や地下などの涼しい環境で移動できる動線の確認もしているとのこと。
また、外食の時などはコンセントを借りて卓上扇風機を回す直野氏の姿を、南條は何度も見ています。こういう協力をいただける飲食店の方には本当に感謝です。
ちょっと注意がいるのは飲酒です。アルコールは毛細血管を広げて体温を一時的に上昇させるため、直野氏は冬場でも屋外で身体を冷やす場合があるそうですが、今度は冷えすぎにも注意が必要で、このあたりは悩ましいところです。

6. 正しい体温測定と異常時の判断基準

在宅で訪問のたびに体温測定を行うのには、その時その時の数値そのものよりも、普段の体温のトレンドを知ることと、体温と本人の全身状態の評価をすることに意味があります。
発熱基準は37.5度以上とされることが多いですが、平熱が36度未満の方と、37度近い方では、同じ37.5度でも意味合いが違いますよね。
また、41.5度を超えない発熱では、体温の高さそのものが生命の危険に直結することは稀であり、解熱剤はあくまで楽にするための手段です。発熱時には必ず解熱剤を使わなければならないわけではないんですが、どうも「○○度以上で解熱剤」というシンプルな事前指示が求められるんですよねえ・・。
体温測定時には、脇の汗をしっかり拭き取りましょう。また、脇に挟みにくい方の場合には首元で測るなども一つの手です。

7. まとめ:体温管理はルーチン化しないで!

体温は、バイタルサインの基本でありながら、何となくで対応していることが多いのではないでしょうか?
夏場の酷暑が問題になっている昨今、高齢者の中には冷房を嫌がる方も多いですが、南條は温度計での実測値を見てもらうことで理解を得る工夫をしたり、いろいろとちょっとした取り組みを行っています。
医学的なエビデンスを大切にしつつも、直野氏が実践しているような日常の工夫も、生活環境や行動様式に合わせて考えていけたらいいですね。

ちょっとだけがんばればできる在宅医療ラジオについて

「ちょっとだけがんばればできる在宅医療ラジオ」は、かがやきクリニック院長の南條浩輝と、頚髄損傷患者の直野隆一郎氏が、他では語れない在宅医療のディープなリアルを、お互いの立場から深く掘り下げていこうという、インターネットラジオ番組です。
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