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ちょっとだけがんばればできる在宅医療ラジオ

ちょっとだけがんばればできる在宅医療ラジオ 第5回「清潔ケア」

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【開催レポート】ちょっとだけがんばればできる在宅医療ラジオ 第5回 在宅での清潔ケアと入浴のリアル

今回は在宅医療における「清潔ケア」がテーマ。
頚髄損傷の当事者である直野隆一郎氏は、入院生活中には自由に入れなかったお風呂に自宅で入れることが、とても嬉しいとのこと。
「清潔ケア」と「入浴」の持つ意味や、QOL向上のための具体的な工夫や便利アイテムの紹介、年齢による皮膚状態の違いや実情と制度の乖離など、多角的に語り尽くします!
 
ちょっとだけがんばればできる在宅医療ラジオ

1. 入院中と退院後での清潔ケアの決定的な違い

在宅医療の現場に携わっていると、病院から退院してきたばかりの患者さんが皮膚トラブルを抱えているということは結構ありますよね。
直野氏の経験でも、入院中の入浴は週に1回のシャワー浴が基本であり、それ以外は蒸しタオルによる清拭が中心でした。
一方、退院してからの在宅生活では、訪問看護や訪問入浴といったサービスを組み合わせることで、週に3回の入浴機会を確保。
直野氏は、在宅の方が清潔ケアの機会が多く確保できていて、それがQOLの向上に直結していると感じています。
病院は生活の場ではないため、入浴は最小限しか実現できないことは仕方がない部分もあります。長期的な生活目線では、サービスの工夫によって清潔ケアをきめ細やかに受けられることは在宅生活の大きなメリットだと、南條も感じています。

2. 在宅での入浴を支える訪問入浴の仕組みと工夫

直野氏の場合、自宅の浴室を使用するシャワー浴と、訪問入浴の2つの方法をとっています。
訪問入浴は、分割された浴槽を室内に運び込み、ドッキングさせて使用するものが多いと思います。ボイラーを搭載した専用車から給湯するタイプや、自宅の浴槽に溜めたお湯をポンプで汲み上げて利用するタイプがあるようです。
南條は何度か訪問入浴の現場に立ち会ったことがありますが、スタッフの動きはまさにプロフェッショナルで、生活空間の中で水浸しにすることなく、テキパキと芸術的な流れで進んでいったのには目を奪われましたね。
直野氏にとって、訪問入浴が週2回利用できることで、清拭だけでは取りきれない汚れや匂いが解消され、非常に助かっているとのこと。
また、シャワー浴の際には車輪付きのシャワーチェアを使用し、ベッドサイドから浴室まで移動するスタイルをとっています。安全と快適さを両方実現できるように、自宅環境や体格などに合わせた工夫をしていくことは、在宅医療の担い手にとって大事ですね。

3. 何でお風呂にお祭りが??

直野氏のさまざまな工夫の中でもちょっとおもしろいのは、移乗の際に使用する「お祭りの帯」です。
脊髄損傷のために体幹の保持が難しい直野氏でも、綿100%で丈夫なこの帯をお腹や足首に巻くことで、介助者が持ち手として利用でき、安全に移乗を行うことができるのだそうです。
また、手元で止水・通水が切り替えられるシャワーヘッドは、狭い浴室での介助負担を大幅に軽減するアイテムですね。
頭皮を均一な力で洗う頭皮ブラシや、空のペットボトルのフタに穴を開けた簡易的なシャワーも使っているそうです。このペットボトルの簡易シャワーは、褥瘡やキズを洗い流す処置をする際にもよく用いる手法で、もはや在宅医療では常識的なものかもしれません。
日常のケアは何度も何度も必要ですので、こういうちょっとした工夫も、長い目で見ると大きな介護負担の軽減につながるんですよね。

ちょっとだけがんばればできる在宅医療ラジオ皮膚

4. 羞恥心との向き合い方と加齢によるニーズの変化

清潔ケアでは、他人に裸を見られることへの羞恥心への配慮は、ケアをする側にとってとても大切ですね。
直野氏も、障害を負った当初は裸を見られることには強い抵抗感があったと振り返りますが、回数を重ねるうちに「非日常が日常に変わる感覚で慣れていった」のだそうです。今では、銭湯に行くようなリラックスした感覚でケアを受けられるようになり、それが介助を受ける際のスムーズさにもつながっているとのこと・・。なるほど、そういう考え方の転換もあるのか・・。
また、医学的な視点では、年齢による皮膚の代謝の変化にも注目する必要があります。
10代や20代は皮脂量が多く、入浴できないことによる痒みや不快感が非常に強いのに対し、40代以降は皮脂量が激減し、乾燥しやすくなります。
直野氏が若かりし頃に切実に感じていた「毎日洗いたい」というニーズは、若い障害者や子どもたちにとって、共通の切実な課題です。
介護保険や福祉制度により、一般的に高齢者を想定して入浴回数が週2回までなどと設定されていることが多いのですが、若い世代の清潔ケアへのニーズはちょっと違うということを行政の方々にも理解してもらいたいと、南條は考えています。

5. 身体をきれいにするだけが目的ではないんです

入浴などの清潔ケアは、単に身体をきれいにするだけでなく、全身をくまなくチェックする貴重な機会でもあるんです。
直野氏の場合、過去に褥瘡の兆候を訪問入浴のスタッフが早期発見してくれたことが何度もあったそうです。
また南條が強調したいのは、意外と盲点になりやすい指趾の間の皮膚状態をしっかり見ておく大切さです。足だけでなく手の指の間も、汚れや垢が溜まりやすく、水虫などのトラブルが発生しやすい場所なんですよね。
また、傷口のケアに関する常識も変化しています。かつては傷口は濡らさず、消毒してガーゼで覆うというのが一般的でしたが、現在は石鹸と流水でしっかり洗い流すことが推奨されています。消毒液を使うことよりも、汚れや菌を物理的に洗い流して減らしてしまう方が、傷の治りを早めるんです。

6. まとめ:清潔ケアとQOL

今回のラジオを通じて、清潔ケアが単なる衛生保持を超え、患者さんのQOLや尊厳、そして健康管理に深く関わっていることを再確認しました。
直野氏の利用しているお祭り帯などは体格の大きい男性ならではの方法でもあり、みんなが同じ方法でうまくいくというものでもありませんので、自宅環境も踏まえていろいろ工夫してみてくださいね。
清潔を保つことはもちろん、ケア自体が楽しみになるような入浴が実現できたらいいですね。コミュニケーションを取りながら、その人に最適なケアの形を模索していきましょう!

ちょっとだけがんばればできる在宅医療ラジオについて

「ちょっとだけがんばればできる在宅医療ラジオ」は、かがやきクリニック院長の南條浩輝と、頚髄損傷患者の直野隆一郎氏が、他では語れない在宅医療のディープなリアルを、お互いの立場から深く掘り下げていこうという、インターネットラジオ番組です。
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