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ちょっとだけがんばればできる在宅医療ラジオ

ちょっとだけがんばればできる在宅医療ラジオ 第10回「呼吸」

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【開催レポート】ちょっとだけがんばればできる在宅医療ラジオ 第10回 「ナオノの呼吸」と「呼気の極意」?

今回の「呼吸」というテーマ、脊髄損傷患者の直野隆一郎氏にとっては本当に大きな悩みの種のひとつ・・。
長年彼の話を聞いてきて、これはリアルをぜひ聞いてほしいと思っていたところ、Toutubeのアーカイブ配信が過去の9回の10倍以上再生されるという人気コンテンツに・・❓
かがやきクリニック院長の私、南條浩輝と一緒に「ナオノの呼吸」と「呼気の極意」に迫ります!
 

1. SPO2モニターの数値では測れない「息苦しさ」の正体

Spo2モニターは在宅医療で以前からよく使われていましたが、コロナ禍で「一家に一台」と言えるほど普及しましたね。
これで呼吸状態を数値で把握しやすくなったのは確かですが、ここには大きな落とし穴があるんです!
直野氏が本編で語るように、受傷前と後では呼吸の様式が大きく変わってしまい、SpO2の値が正常であっても、本人は猛烈な息苦しさを感じていることがあるんですね。
直野氏の場合、これを「呼吸が浅い」という表現で訴えています。別に身体の酸素が不足しているわけではないので、酸素を吸うことはあまり意味がなく、それよりも扇風機の風を顔に受けるなど、気流を作る方が楽になるのだそうで・・。
これは実は、COPDや間質性肺炎、あるいは肺がんなどの呼吸器疾患で呼吸苦を訴える患者さんではよくあることで、空気の流れがない空間よりも、気流があったり、顔の周囲で風を感じたりすることが症状の軽減につながるんです。

2. 頸髄損傷レベルと呼吸への影響

直野氏のような頸髄損傷の場合、どのレベルで脊髄が損傷しているかによって、呼吸への影響が変わるんです。
直野氏はC5レベルの損傷で、この場合には横隔膜以外の呼吸筋がほぼ使えない状態になり、その結果、肺活量は受傷前の3分の1から半分程度にまで減少しているのだそうで・・。
そのため、肺は元気で酸素を取り込むことはできるのですが、換気量が減ってしまって二酸化炭素が身体から出しにくい・・つまり、息を吸うより吐く力の低下が深刻な問題の原因となっているんです。
それに、換気量が低下すると、咳の力や痰を出す力を弱まってしまうので、受傷前なら無意識で自然に流せるような痰であっても、意識的に咳をせずには排出できず、それもなかなか大変なんですよね。
また、車椅子上での前傾姿勢や脊柱側弯や後弯などの体幹の変形が、肝臓などの内臓を押し上げて横隔膜の動きを物理的に妨げることも、呼吸を浅くする要因となってしまいます。
脊髄損傷の患者さんにとって、呼吸の状態の維持は生命に直結すると同時に、QOLを大きく左右する要素なんですね。
そしてやはり、呼吸機能を維持・改善するためのリハビリでを継続することは大切で、そのためには楽しみの要素も必要です。
呼吸リハビリでは「吸う」ことよりも「吐く」ことを日常的に意識するのが難しいので、歌を歌う、ハーモニカを演奏する、など、ゆっくり息を吐く動作の必要なレクリエーションを直野氏は取り入れていたそうで、面会に来た友達に「セッションやろうぜ!」と言われたのは、がんばるモチベーションにもなったそうですよ。

3. モニターに頼らない!五感で捉える多角的な呼吸評価

在宅医療の患者さんの呼吸状態を評価する際、SpO2モニターはとてもいい機械ですが、数値だけを見ていませんか?
先にも書いた通り、この数値で分かるのは「酸素化」の善し悪しだけなので、実際にとても大事なのは本人をしっかり見ること、そして評価のためには「普段の状態との比較」をする視点を持つことが不可欠なんです。
安静時の呼吸回数はもちろん、呼吸のパターンや音にも注目してみると、鎖骨周りや肋骨の下がペコペコと凹む「陥没呼吸」や、首や肩の筋肉をフル活用して必死に息を吸い込む「努力呼吸」、喉の奥でゴロゴロと痰が鳴る音や、ヒューヒューという気道狭窄による音・・こういう目や耳で得られる情報はとても大切なんですよね。
モニターの数値を確認するのと同時に、必ず患者さんをしっかり診ようという姿勢が、呼吸状態の評価には欠かせないんです。

4. 呼吸に関する薬のTIPS

去痰薬は呼吸器症状のある方によく処方することがありますが、これらの中でもアンブロキソールとブロムヘキシンは痰に水分を引き込んで軟らかくするため、痰の量が増えてかえってしんどいと言われることがあります。
痰がある程度の硬さを持っている方が、塊として喀出できるという方や、サラサラになりすぎて常に喉のあたりに残ってしまうと言う方など・・ADLの低下している在宅医療の患者さんでは、いろいろ試しながらやるしかないのが実際のところです。
また、咳止めとして使用するリン酸コデインは、呼吸のリズムを抑える作用も持つため、換気量をさらに低下させる恐れがあり、使用の際にはちょっと注意が必要です。
そして・・、在宅医療の現場で最も課題となるのが、吸入薬なんです。
吸入薬には、「吸う」という行為と、「ボタンを押す」などの行為を同調させる必要があるものが多いので、筋力が低下した方や巧緻性の低下した方、あるいは認知機能の低下した方には、非常に難易度が高いんですね・・。
他の人に援助して、ボタンを押してもらうやり方もありますが、これはこれで吸うタイミングを合わせるのが難しく、薬が肺に届いていない不十分な吸入になってしまったり・・。
操作のしやすい剤形を選んだり、子どもではスペーサーという吸入補助具やネブライザーの使用を検討するなど、続けていける薬を選ぶことが大切で、これは薬剤師さんの腕の見せどころですね。

5. まとめ:ちょっとでも呼吸が楽に過ごせるように・・

呼吸状態は数値を管理するものではないことは、これまで何度も述べてきました。
患者さんのしんどさに寄り添い、本人の様子を普段と比較して、薬だけではない様々な角度からの環境調整を行うことが、症状緩和につながっていく。・・しんどさの原因は、意外に姿勢の問題や、一人で過ごすことへの精神的な不安などかもしれません。
また、呼吸リハビリはとても単調で忍耐力を要するのも事実です。やらされるものではなく、楽しみながら機能維持できるものを提案してくれる療法士さんは、在宅医療現場ではとても強い味方になりますね。
在宅医療に関わる多職種が、それぞれの特技を活かしたチームを組んで対応することで、呼吸の症状の緩和に繋げられることがいっぱいあります。ぜひそんな連携を目指していきましょう!

ちょっとだけがんばればできる在宅医療ラジオについて

「ちょっとだけがんばればできる在宅医療ラジオ」は、かがやきクリニック院長の南條浩輝と、頚髄損傷患者の直野隆一郎氏が、他では語れない在宅医療のディープなリアルを、お互いの立場から深く掘り下げていこうという、インターネットラジオ番組です。
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