2月15日付の大阪保険医新聞に、このような記事が掲載されました。

インタビューを受けておられる森本先生は、私も普段、泌尿器科領域で困った時にお世話になっている先生です。

記事の内容に、大阪府下の在宅医療の現状を補足しますと、以下のようになります。



1.大阪府下では、医師1人のいわゆる「ミックス型」の在宅療養支援診療所が多く、外来の合間で可能な範囲で在宅医療に取り組んでいる。



2.大阪府下では、泌尿器科や皮膚科などの開業医の先生が、在支診から依頼を受けて専門領域の診療を行い、1人の開業医ではできないことを診診連携でカバーする形が存在している。



3.保険診療報酬では、「訪問診療」は1カ所の医療機関のみ請求可能で、メインで診療している在支診が算定する場合、サブで支える泌尿器科や皮膚科の先生は算定できないルールになっている。

(これまでは実情に合わせて算定を認められるケースもあったが、今後厳格化すると言われた。)



4.「往診料」は、定期的な自宅での診療では算定できない。このため、サブの先生は「再診料」しか請求できないことになってしまう。これではとても診診連携を続けていくことはできない。





ちょうど1年前、本ブログに「在宅医療という言葉」という記事を掲載しました。

この中で書いたように、在宅医療は成り立ちもその形も、関東と関西で大きく異なっています。



どちらかというと大規模で、いろんな科の医師が揃っている在支診であれば、自分の不得意な領域の診療について自院の他の医師に相談し、代わりに訪問診療してもらうこともできます。

こういう形の在支診は、どちらかというと関東に多い印象があります。



一方で、医師1人でできる範囲で行う在宅医療の場合、自分の不得意な領域の診療は他院に頼むことになり、その領域で自宅に行ってくれる医師がいなければ、患者さんに外来受診もしくは入院してもらうしかなくなります。

関西にはこの形の在支診が多いため、どうしても「困ると入院」というケースが多いことは否めないのですが、幸い大阪府下には、サブで自宅に行ってサポートしてくださる開業医の先生がおられ、このあたりがうまくカバーできていたケースも多いのです。



例えば当クリニックの場合には、過去にこんな例がありました。



・難治性掻痒症の寝たきりの患者さんに疥癬を疑い、皮膚科の開業医の先生に往診を依頼。疥癬の確定診断を付けていただいた上、完治まで治療および関係機関への感染対策などにご助言をいただいた。



・前立腺肥大による夜間頻尿の寝たきりの患者さんに、泌尿器科の開業医の先生に往診を依頼。前立腺エコーなどの検査を実施していただき、それまでの投薬内容を見直し、経過を見ながら調節をいただいた。



どちらも、私の実地臨床経験の乏しい分野です。

もちろん、在宅医はある程度のジェネラルな診療ができる必要性はあると思いますし、私もそのつもりで勉強して、できることは自分で対応しています。

しかし、自分で対応可能な範囲と専門家に相談すべき範囲をわきまえておくことも、ジェネラリストには必要なはずです。

私自身の経験の浅さを、上記のように皮膚科や泌尿器科などの専門家の先生ががカバーしてくれる形は、私の訪問している患者さんが受けられる在宅医療のレベルを上げることに確実につながりますし、無用の外来受診や入院、あるいは訪問看護師やヘルパーなどへの感染伝播などを未然に防ぐなど、トータルで見れば恩恵は計り知れません。



しかし、専門的に診療してもらうのに、わざわざ自宅に来てもらって再診料しか算定できないとなれば、さすがにこちらも頼みづらくなってしまいます。

ぜひ、こういった複数の診療所で支える在宅医療の形が存続できるように、私は以下の診療報酬設定をしてはどうかと考えていますが、いかがでしょうか。





【「専門領域在宅患者訪問診療料(仮)」の新設】

当該診療所の主標榜科に関わる専門的な診療を要する在宅患者において、在宅時医学総合管理料もしくは在宅患者訪問診療料を算定している主治医から診療情報提供を受け、当該科に関わる専門的な診療を実施した場合に、月2回まで算定できる。