2月17日から一部の医療従事者を対象とした新型コロナウイルスワクチンの接種が始まり、最近、訪問診療の際にもワクチンに関する質問をいただくことが増えてきました。

ワクチンがどんなものかについては、忽那賢志先生がYahooニュースに書かれているサイトに詳しく書かれているので、ぜひ一度お読みいただくことをお勧めいたします。

医療従事者へ接種開始 ファイザー社の新型コロナワクチンQ&A

現時点までの情報によると、ワクチンの予防効果は大きく、命に関わるような重大な副反応のリスクは低いと考えられますので、当クリニックとしては予防接種を行うことをお勧めする立場を取っています。

(リスクとメリットを天秤にかけて検討する必要がありますので、接種するかどうかは最終的にはご自身でご判断くださいますようお願いいたします)



さて、実際にワクチン接種をどのように進めていくのか、大阪府や堺市からの情報も少しずつ入ってきていますが、まだ具体的なことは何も決まっていません。

そのような中で、在宅医療を中心に行っている当クリニックとして特に気になるのが

往診でワクチンを接種することが実際にできるのか?

という問題です。



先ほど紹介したYahooニュースにも書かれている通り、今回のワクチンは「mRNAワクチン」という今までにないタイプのもので、成分が非常に壊れやすいため慎重に扱わなければならない、という特徴というか、難しさがあります。

具体的には、報道でも言われているとおり、マイナス80℃前後の超低温で保管する必要があり、解凍したら約5日以内に使用しなければいけないという制限があります。

また、振動させることで成分が壊れるのを早めてしまう可能性があるため、解凍後のワクチンの取り扱いには慎重を期さねばなりません。



しかも、このワクチンでは1本に5(注射器によっては6)回分の薬液が入っているため、5(6)の倍数の方に接種しなければ、残りは破棄しなければならなくなるという問題もあり、限りあるワクチンの有効利用のためには破棄は限りなく避けたいところです。

なのに、いつ何本のワクチンが納入されるか、などの具体的なことは、全く予定が立っていません。



このような事情の中で、当クリニックとしては、訪問診療を行っている方に対してワクチン接種が可能かどうかを検討しております。

現時点では解凍後にどの程度の振動に耐えられるのか明らかな情報はないため、もしかすると今後「自動車で運搬しながら接種して回ることはできない」と判断される可能性もなきにしもあらずです。



そして、仮に往診で接種が可能であると判断された場合にも、上記のような難しさがあるため、おそらく最低限、以下のような工夫をする必要性が出てくるでしょう。

○ ワクチン納入日が決定したら、5日以内に使い切るだけの接種予定を立てる。

○ 1日に接種する方の数を5(6)の倍数になるよう調整する。

○ ワクチン接種専用の往診予定を、なるべく移動距離が短くなるようなコースで組む。



このような対応を行うには、通常の訪問診療の枠組みの中で接種することは不可能であろうと予想しています。

もし往診で実施可能な場合には、接種を希望する方に、

○ 通常の訪問診療とは別に、ワクチンのための往診を別の日に設定する。

○ 接種の日時は当クリニックで決めさせていただき、希望は受け付けられない。(介護サービスなどを急に休んでいただく必要が生じるかも知れない)

○ 接種の日時は前日〜数日前に突然こちらから指定する可能性がある。

○ 体調不良などで接種を見合わせた場合を除き、一度決めた接種の日時を変更することは原則できず、接種できなくなった場合には7月以降の一般枠で外来対応とさせていただく可能性が高くなる。

といったことにご理解をいただく必要があります。



制約には大変心苦しいところでありますが、非常に特殊な事態への対応であるため、ご理解をいただければ幸いです。

そして、こういった条件で実施可能となった場合に当クリニックの往診で接種を希望されるかについて、訪問診療先の65歳以上(今年4月時点)の方へアンケート用紙を送らせていただいています。

現時点で実施可能と決まったわけではなく、このアンケートは予約ではありませんが、どのくらいの方が希望されるかにより対応が変わる可能性があるため、お手数ですが回答にご協力をお願いいたします。



なお、当クリニックの訪問診療を受けているご家庭以外への往診でのワクチン接種については、さまざまな制約から実施は不可能と考えておりますので、医療機関などでの接種をご検討くださいますようお願いいたします。