子どもの在宅医療を考える上で、予防接種は大きなポイントの一つです。
特に近年、ヒブワクチンや肺炎球菌ワクチン、自費ですがロタウイルスワクチンやB型肝炎ワクチンの接種も進むようになり、小さな子どもの予防接種回数は結構なものになっています。
通院の困難な子どもに、訪問診療で予防接種をすることができれば、受診負担の軽減に役立つことができると感じています。

ところが、実は大きなハードルが存在します。

自治体によって異なるのですが、大阪府の堺市近隣の市町村では、原則として居住している市町村(もしくはその近隣の指定市町村)にある医療機関で行った場合にのみ、公費の予防接種の補助がおりることになっているのです。

私のクリニックは堺市にありますので、堺市に住んでいる子どもに公費の予防接種を行うのには何も問題はありません。
しかし、訪問診療の範囲は、和泉市、大阪狭山市、高石市などにまたがっています。

他市に住んでいる子どもの場合、各市の担当の方にお願いした結果、
「受診が困難だから、他市から訪問診療してもらっている医師に予防接種をお願いするので、許可してほしい」
と、ご家族から事前に役所に相談してもらうことで、公費の補助を受けられることになりました。(多少自治体により形式が異なります)

でも、問題なのは訪問診療の対象の子どもの兄弟です。

在宅医療を始めてみて分かったのですが、障害を持つ子どもの兄弟には、予防接種を予定通り接種できていない方が結構おられます。
お母さんの日々の負担が大きく、兄弟の予防接種のことまで手が回らないのだろうということが想像されます。
私としては、訪問先の兄弟にも訪問診療のついでに(と言っては悪いですが、同時に)接種してあげたいと思っています。

しかし、現時点で堺市以外の訪問診療エリアの市では、兄弟が他市の医療機関で予防接種を受けても公費補助は認めないという決定になっています。
おそらくは、本人が受診困難であることは想像してもらいやすいのに対して、兄弟を医療機関に連れて行くのが困難だというイメージをしていただきにくいからではないかと思います。

小児科医として、予防接種の未接種者を減らしたいとの思いはどの市町村の先生もお持ちのことと思いますので、これからも実情を伝えることで理解していただければ・・と思っています。